【はじめに】
こんにちは。23年卒SD部Y.Mです。
前回のブロックチェーンとははご覧いただけたでしょうか?まだの方は今回の仮想通貨の話の前提となるのでぜひご一読いただけますと幸いです。
今回からはブロックチェーンを機能を使用した仮想通貨(暗号通貨)に関してみていきたいと思います。
【目次】
- 仮想通貨とは何か?
- 仮想通貨の誕生とビットコインの役割
- ブロックチェーン技術の基礎
- 仮想通貨と従来の通貨との違い
- 仮想通貨の主要な特徴と利点
■仮想通貨とは何か?
まず仮想通貨とは、インターネットを通じて売買、交換、送受信ができ、お金の代わりになるものです。その性質としては、「不特定の者に対して、代金の支払い等に使用できるかつ、法定通貨(日本円など)と相互に交換できる」、「電子的に記録され、移転できる」、「法定通貨または法定通貨建ての資産ではない」ことがあります。具体的には、ビットコインやイーサリアムがあります。下記の画像では仮想通貨の種類を一部紹介しています。
仮想通貨には銀行等の第三者を介することなく、財産的価値をやり取りすることが可能な仕組みのため、高い注目を集めました。
■仮想通貨の誕生とビットコインの役割
仮想通貨の誕生は2008年のサトシ・ナカモトの論文から始まります。サトシ・ナカモトの素性は一切明かされていないのですが、この人物がビットコインの考案者とされています。
サトシ・ナカモトの論文には仮想通貨の基本的な仕組みが書かれており、この論文をもとに有志の技術者が実現化を図りました。そこで2009年に誕生したのが「ビットコイン」です。ビットコインは初期のころ価値がほぼなく、この技術に興味を示した人たちが増えていくことで価値を持ち始めました。最初の取引は2010年5月22日であり、この日を「ビットコインピザデー」として知られており、プログラマーのラズロ・ハニェツが1万ビットコインでピザを二枚購入したことがきっかけで名づけられています。当時のビットコインは1ビットわずか5円でした。
このように使用が始まったビットコインは、中央の管理者が存在せず、ユーザー同士が直接取引をおこなうことができる分散型システム通貨です。この仕組みの基盤にはブロックチェーン技術があり、全ての取引が透明かつ安全に記録され、改ざんされる心配がないのも大きな特徴です。
また、ビットコインの取引は、マイニングというプロセスを通じて承認され、マイニングは世界中のコンピュータが複雑な計算問題を解くことで、新しいビットコインを生成し、同時に取引の正確性を確認する仕組みです。これによってビットコインのネットワーク全体の信頼性を保つことができます。ビットコインの特徴として、①ビットコインの供給量は21,000,000BTCに制限されており、インフレに対して強い、②ビットコインのもつ希少性と分散型の性質から長期的な価値の保存手段として利用可能、③分散型の通貨のため、高いセキュリティを保てることが挙げられます。
■ブロックチェーン技術の基礎
では、ここでブロックチェーンとはどのような技術なのかについて触れていきたいと思います。少しここは前回のブログと被るところはあるのですが、仮想通貨で使用しているブロックチェーンの技術をメインで話していきます。
まず、ブロックチェーンとは、参加者の中に不正を働く者や正常に動作しない者がいたとしても正しい取引ができ、改ざんが非常に困難で、停止しない、多数の参加者に同一のデータを分散保持させる仕組みです。ブロックチェーンの特徴として改ざんが非常に困難・システムダウンが起きない・取引の記録を消すことができない・自律分散システムの4つが挙げられます。ブロックチェーンは、ハッシュや電子署名という暗号技術を用いることで、データの改ざんを容易に検出できる仕組みがあります。
また、不特定多数の参加者が取引を行うのですが、多数の参加者が全員の取引履歴のコピーを記録しているため、一部のコンピュータがダウンしても、残りの多数の参加者が記録を保持し続けるため、システム全体がダウンすることはないです。この取引履歴のコピーは削除もできないため、一度記録された取引の記録は消えずに証拠として残り続けます。このように、多くの参加者でデータを分散して持つシステムを分散システムと呼びます。この自律分散の、不正や改ざんを許さず、公正な取引の履歴を安定して記録し続ける特性は、仮想通貨を筆頭とした高い信用度を求められる取引には欠かせないものでした。
■仮想通貨と従来の通貨との違い
では、ここからは少し飛躍した話かもしれませんが、このように高い信用度をもつ仮想通貨がさらに普及すると従来の国民通貨はなくなっていくのでしょうか。
結論から述べると、おそらくその可能性は低いと思います。なぜなら、お金が満たすべき3大機能「価値尺度機能(商品やサービスの価格を決める)・交換手段機能(お金で商品やサービスと交換できる)・価値保存機能(お金を貯めておくと価値が保たれる)」の内、仮想通貨は3つ目の価値保存機能のみが際立って機能しているからです。まだ価値尺度機能・交換手段機能に関しては一般的な買い物では使用できず、これは、各国で用いられている国民通貨のような法定通貨として一般受容性を仮想通貨は持ちません。価値を保存する機能だけでしたら、お金や通貨とは名ばかりで、その実態は金融商品と同じ分類になります。
しかし、普通の金融商品は、お金の借用書として発行され、将来の返済時、金融商品保有者にお金が返ってくることで、金融商品の価値が決まります。また、金融商品の内、金などの貴金属通貨は、貴金属として本源的な価値を持っています。仮想通貨は、紙幣などと同じように、本源的な価値をもちませんし、普通の金融商品のような満期(返済期限)などはありません。
■仮想通貨の主要な特徴と利点
ここまで仮想通貨とはから、従来の通貨とどのように違うのかまで話してきましたが、最後に仮想通貨の特徴とメリットを述べていきたいと思います。
まず仮想通貨のメリットは大きく3つです。1つ目は、発行管理者がいないことです。従来の通貨では、政府や中央銀行といった管理者が通貨発行をコントロールするのに対し、仮想通貨は管理者が存在しません。その代わり、利用者たちがネットワーク上で唯一かつすべての取引履歴を、相互に保管しあいます。通貨の発行はこの取引履歴の健全性を維持するために、有志が供出する計算資源が行った計算に対して行われます。
この計算によって新しい通貨を発行する行為を採掘(マイニング)と呼び、採掘を行うための計算を行うものを採掘者(マイナー)と呼びます。そして、新しく発行された通貨は、マイナーに対して報酬として支払われます。
2つ目は、暗号化技術を使うことです。仮想通貨の大きな特徴として、ブロックチェーンと呼ばれる取引履歴があります。ブロックチェーンでは、一定期間で発生した取引の履歴がブロックと呼ばれる単位で記録され、各ブロックはそのブロックが作られる前に行われた取引履歴である、別のブロックのIDを保有しています。これを遡ると、過去全ての取引履歴を確認することができるのです。この過去から現在までの取引履歴であるブロックが時系列でつながっていることが、ブロックチェーン(ブロックの鎖)と呼ばれる理由です。
3つ目は、海外への送金にかかるコストと手間が少ないことです。海外へ送金するときには、国内での送金と異なり「送金手数料」「為替手数料」「受取手数料」という3つのコストや手間がかかります。送金手数料の相場は4,000円ほど、為替手数料は1ドルあたり1円ほど、受取手数料は相手側の金融機関で決められています。個人で海外へ送金する場合に、1回あたりの手数料がこれだけかかると大きな負担になりますが、仮想通貨であれば世界中どこへでも一律数円です。送金にかかる時間も、通常の金融機関で数日、新興国では2週間もかかることがありますが、仮想通貨は約10〜30分で済みます。
これらのメリットにより、ビットコインをはじめとする仮想通貨はオンライン取引から日常の消費にも利用が広がりつつあります。今後も仮想通貨はさらに流通を拡大し、私たちの生活に深く浸透していくことは間違いないでしょう。
【まとめ】
仮想通貨に関してここまでいかがだったでしょうか。紙幣のデザインが新しくなったことは記憶に新しくまだ日常生活に浸透しきっていないとは思います。このように仮想通貨も徐々には浸透してきていますが、日常生活に関わってくるのはもう少し時間がかかりそうではあります。ただ、仮想通貨が今後私たちの日常生活に関与してくることになるとは思うのでその機能や技術は今のうちに知っておいて損はないのではないでしょうか。
このブログででもブロックチェーンや仮想通貨に関して知るきっかけとなれればうれしく思います。次回は、具体的に仮想通貨の代表例でもあるビットコインやイーサリアムなどに関して詳しくみていきます。ぜひそちらの公開をお楽しみに!